緊急連絡の理由

「お姉ちゃん、お願い今日会える?」
と短い言葉で妹からメールが来ました。
いつもくだらない絵文字とか、意味不明なスタンプとか送ってくるのに、変な奴と思って
「ウチに来てくれるならいいよ」
と軽く返信しました。

 

妹は大学生なんですが、講義が終わってすぐに来たようで、まだ明るい時間にドアフォンが鳴りました。
歳が8つも離れているので、私には妹でありどこか放っておけない姪っ子みたいな、変な関係です。

 

妹はいつになく真剣な顔で、出したお菓子にも手を付けず座っていたのですが、いきなり切り出したんです。
「妊娠しちゃった。ヤバいよ、助けてお姉ちゃん!」
そのまま泣かれてしまいました。

 

ヤバいじゃないだろうと思いつつ、妹の背中をさすりながら、事情を聞きだすことにしました。

 

お母さんが知ったら泣くよと本当は言いたかったんですが、とても説教出来る状態ではありませんでした。

 

さてどうしたら良いんだろう・・・。

まずは病院へ

妹には彼氏がいましたが、別れた直後に妊娠に気付いたそうです。
よりを戻す気は一切ないようで、産むなら一人で育てるしかないと言っていますが、決心はつかないようです。

 

自分で検査薬を使って妊娠してると思ったそうなんですが、まずは妊娠しているのかも含めて、産婦人科へ連れて行く事にしました。

 

結果はやはり妊娠は確実なもので、今は7週目という事でした。
妹は動揺が隠せないようでしたが、それでも中絶の事もしっかり医師に聞いて帰りました。

 

「もし中絶を望むなら、初期の早い段階が母体への負担も軽減されますから、11週になるあと一カ月程度で結論が出せると良いですね」と言われました。

 

12週を過ぎたら手術の方法も変わり、入院になるかもしれないそうなんです。
一カ月という期限も最大幅のようで、中絶するなら早ければ早いほど身体の負担は軽く済むそうなんです。

 

一カ月の間で考える事

妹は両親に言って、私のアパートにしょっちゅう泊まりに来るようになりました。
つわりが始まったようなんです。

 

私は気ままな独身生活ですから、妹との共同生活も良いもんだななんて思ってしまいましたが、実際妹の心境はそれどころではありませんよね。

 

ここから妹が決断するまでの間、色々な事を調べておこうと思いました。

 

中絶については、あまり他人に聞く事も出来ませんから、パソコンで夜な夜な検索しまくりました。
病院の先生の言った事で間違いは無く、やはり中絶するなら早い方が良いようです。
身体への負担ももちろんですが、お金の面でもです。

 

初期で中絶する場合の費用は病院によって違いがありますが、7〜15万が相場のようです。
倍近く開きがあるのは、保険適用外だからのようで、病院ごとの設定で決められているみたいなんです。保険が使える処置の場合は全国どこでも同じ料金なんだそうですよ。

 

12週を超えた中期での中絶では20〜30万が目安だそうです。
22週に入ってしまうと、母体保護法という法律により中絶手術は認められないんだそうです。

妹の覚悟

「決めたよ」と、思ったよりも早く妹は決断しました。
私が調べたものをプリントして、置いておいたのをよく読んでくれたようです。

 

「でもやっぱりお父さんやお母さんには内緒にしたい」
それは私が同じ立場であってもそう思ったでしょうし、それで良いんじゃないかなと思いました。

 

問題はお金なんです。
別れた彼氏に払ってもらう事は出来ないものかと思ったんですが、どうやら彼の方はまだ妹に未練があるようなんです。
だから妊娠した事が知られたら、きっとストーカーばりに付きまとわれると言うんです。
妹は何があったのか、彼との復縁は絶対に嫌なんだそうです。

 

働いている私に貯金があれば良いのですが、一人暮らしで何かと使い切ってしまい、貯金はほとんどありません。

 

ちょっとドキドキはしましたが、私の名義でキャッシングをする事にしました。
妹も成人はしていましたから、「自分でやる」と言い張ったんですが、せめてその位は私にさせてもらいたかったんです。
手軽に現金を借りることが出来たのは、本当に助かりました。

 

おなかの子には罪は無いのに、本当に申し訳ないけどこうするしかないよね、と最後に二人で泣いて、病院へ向かいました。
二度とこんな思いは姉妹でしないようにと心に決めて、前向きに妹を支えたいと思います。